Stranger Ville編⑬
リーグはもう一度フィルターの制作依頼をグレゴールにお願いすると快く引き受けてくれた。依頼が1回限りだけじゃなくて良かった。
土産物店で部品欠損の防護服を購入。
今回もまたもやエルウィンがいない。トイレ(大)にでも行ってるのか。
翌日、空は更に不自然な天候になっていた。
これで色が白かったら牛飼い少女とハト使い少年とグラサン大佐が突っ込んで行きそうな雲が前日よりも大きくなっている。
黒服が早朝にもかかわらず町中を巡回していたのでちょっかいがてら話しかけてみる。
『ここには何もないよ。さあ行って。』
何も無いって…。これで何もないはさすがにムリがあるでしょ。
あれかな、朝から深夜まで労働基準法ガン無視の勤務体制を取らされてて疲れてんのかな。もうテキトー感があるもんね。
しばらく時間が経つと町中の感染者が劇的に増えていた。
ジェスに続き、ディランまで。
『外を歩く時は注意しないと。ニュースで汚染の状態がますます酷くなっていると言ってた。』
『空気が汚染された感じで、家を出るのだって怖い。防護服を着ていたいくらいだよ!』
『防護服なんてすごいね!それがあれば、きっとこの事件の最深部にまでたどり着けるだろうな。自分も一緒に行けたらいいのに!』
まだ感染を免れている人達は口々に汚染について危機感を持っている。
ニュースで汚染の情報が流れてるとか、やっぱり秘密隠蔽できてないではないか。
真相を探りに再び研究所を訪れるリーグ。
ウンコ雲から度々ピンク色の雷が出ていたが、施設の避雷針に落ちるようになっていたようだ。
建物を囲むようにぐるりと避雷針が立てられているということは、この施設は元々この現象を想定して建てられていたわけだ。
建物の内部は毒霧が無くなっており素のままでも進むことができた。
防護服とフィルターを再準備した意味が…
「…あ?」
「来たか。」
「ヴァルファー!どうしてここに!?」
「この先に元凶がある。見て来い。」
|┃三
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____.|ミ\___( <_,` ) _
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|┃ ≡ ) 人 \ ガラッ
\Hi/
三 |┃
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( )っ.|┃そ ピシャ
「わしはこれからあの化け物を潰しに行く。ワクチンも一時的なものだった。悠長なことはしてられないのでな。
お前もわしの足手まといになるようならさっさとここから引き返せ。」
「ヴァルファー!いくらあなたでも1人だけでどうしようと言うんです。俺も行きます。」
「…ふん!」
「!!?」
男は黙って拳骨!とばかりに組み手をかけてくるヴァルファー。
ちなみにこのモーション、カッコ良くて個人的に好きだ。
一通り組み手を終えて満足したのか、どうやらリーグを仲間としてヴァルファーに認められたようだ。
「お前には借りもある。今回はお前の采配で動いてみろ、准尉。ただしお前がそこまでの能がないと判断したら即わしはわしのやり方でやらせてもらう。」
「分かりました。それでは宜しく、ヴァルファー。」
ついて来い、と促されリーグ達が辿りついた先は胞子の解析に使った機材のある実験室だった。
ヴァルファーから、ここでマザープラントの一時的な耐性ワクチンが作れることや、それをシドゥリに使ったことなどを伝えられる。
「しかしヴァルファー、ワクチンを使ったとして、あの未知数な生物に対して2人だけというのは心許ない。万が一にも保険はかけておいた方が良い。」
「フンッ、あの役に立たん軍の連中にでも頼むというのか?そこそこの力にもならんような奴は逆に邪魔になるだけだ。」
「1人、心当たりがある。ジョージ・ケイヒルという退役軍人だ。戦力になるかは微妙だが…マザープラントに対して執念深いのは確かだ。」
「多少なりとも骨のある奴なら良いがな。とりあえずはワクチンを作るのを手伝え。」
決戦に備えて2人は協力してワクチンの制作を急いだ。