Stranger Ville編⑩
ヴァルファーが図書館に向かうと秘密工作員が幼女を苛めていた。
近頃は工作員が町中を高頻度でうろついている。(ちなみに裕二郎はいなくなってしまった。)
防護服につけるフィルターを科学者が作れるということなので、ちょうど図書館前のベンチに座っている白衣の男にヴァルファーは話しかけた。
「あー、オッホン。胞子フィルターとやらが必要なんだ。何か知っているなら教えてくれんか。」
『胞子フィルターの材料は持っているのだけれど、まだ胞子塊の分析が足りていない。秘密研究所の化学分析装置を使って、感染調査のデータを作って欲しい。そのデータを持ってきてくれれば、胞子フィルターを作成できる。』
「ふざけるな、データだろうが何だろうがそれを調査してこその科学者だろうが!とんだ言い草と怠慢だ!!やはり科学者に碌な奴はおらんな!」
「はぁ!?えっ…ちょっ…」
そこへやって来るリーグ。
あれ、あそこで言い合いしてるのはエルディ中佐?
「だから軍人は嫌いなんだ!僕はもう帰るぞ!!」
「ちょっと落ち着いて。俺の話を少しで良いので聞いてもらえませんか?エルディ中佐は少し頭を冷やしてきてください。」
科学者をなんとか落ち着かせて引き止めたリーグ。
感染調査データを見てもらうにも友好度を上げないと見てもらえないようなので着々と個人的な会話を進める。
「…ということから僕はマジックビーンの法則性に気付いたんだ。」
「それじゃあグレゴールは元々は植物で遺伝の研究を…?面白そうな研究題材だな。」
更に会話。
「俺の飼っている犬がヴァンっていう名前なんだけどコイツがまた賢いやつで…」
シムラ!後ろ!
更に会話。
「ハハハハ、ほら!こっちだこっち!」
「わあ、ワンちゃん!ワンちゃん!」
すぐに胞子フィルターについての会話ができるようになった。
ペット、ワンダフル。
『感染調査データを提供してもらえれば、胞子フィルターを作ることができる。それで呼吸による感染を防げるよ。』
「実は調査データは持ってるんだ。これを見て欲しいんだが…」
『ああ、これはすごい!感染調査データを分析したら、すぐに郵便で胞子フィルターを送るよ。この調子で調査を続ければ、本当にワクチンの完成にたどり着けるかもしれないね。』
「ありがとうグレゴール、恩に着る。」
「今度は僕の飼ってる蠅を見てくれよ!写真送るね!」
科学者への用事はこれで一旦ひと段落ついたので次はヴァルファーに尋ねる。
「エルディ中佐、何をしているんですか。あれでは必要なことも聞き出せないのは当たり前でしょう。」ヒソヒソ
「………わしは、急がねばならんのだ。」
リーグは事情を聞き、シドゥリが研究所の霧に入って感染してしまったことを知ったが先ほどのグレゴールとの会話で科学者間でもワクチンがまだ完成いないことが判ったのでどうしようもできない。
リーグは家に帰って夕食を済ませた後、洗面台で食器を洗った直後に排水溝から何かが生えた。
サイレントヒルかな?ITかな?トム・クルーズの宇宙戦争かな?
まぁ誰でも不快にはなるよね。
ポリゴン感が凄いけど。画質設定標準でもこんな見た目になるのか。
翌朝も変な天気が続いている。
グレゴールから胞子フィルターが郵便で届くとのことなので届くまでの間にヴァンとゆっくり遊ぶ。
というか、今日中に届くのか?
正午前ぐらいにやっと届いた。
胞子フィルター:不完全な防護服を改良できるフィルター。土産物店のオーナーに胞子について聞いてみよう。不完全な防護服を扱っているかもしれない。
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コンコンコン
「エルディ中佐にこれを届けに来ました。」
「これは…防護服のフィルター!?」
「俺は入隊当初からエルディ中佐の話を先輩に聞いて憧れてきました。今もそうです。貴方が困っているのなら、その胞子フィルターを使ってください。」
「余計な事を!…だが…感謝する。」
「………あと、わしはロートルだ。今は中佐ではない。
ただのヴァルファー・エルディで良い。」
「分かりました。」