Stranger Ville編⑦.5
ヴァルファーとシドゥリはウィロークリークの小さな家で共同生活を送っていた。
しかしヴァルファーが【せっかち】な性格のためか、シドゥリのティーンエイジャー特有な情緒不安定なためか、会話も少なくお互いに話しかけても友好度がほぼ上がる事はなかった。
それはStrangerVilleに来てからも変わることはなかった。
研究所から帰ったあと、ヴァルファーは同じ軍人に手当たり次第聞き回った。
しかし暖簾に腕押し、有益な情報は何一つ入ってこない。
『誰かが研究所の事を嗅ぎまわっているらしいね。けれど地下に入るにはカードキーが必要だから、そこで行き止まりだよ。』
『この町の科学者と軍関係者から証拠について聞きまわる人間がいないか探すように言われているんだけれど…何か知らないかな?』
その誰かとは目の前に居るわしの事だが?(威圧)
能無しの青二才が、わしを誰だと思ってる!機密だか何だか知らんが吐け!!そしてカードキーとやらを出せ!!
過去にどれだけ凄い人であろうと貴方は今、下級軍曹です。上級士官ではない人間には誰であろうと教えられません!
恫喝しまくる爺。
ヴァルファーは下級軍曹のため自力でカードキーの取得もできず、こんな調子なので友好バーも上がることはなく証拠が集まるはずもない。
土産物店の前まで来ると、いつもの店員とは違った奴が店番をしていた。
↓いつもの奴
ヴァルファーは以前にも、ここに来たことがあったがあまりの胡散臭さに呆れて即効で帰ったのだが確かその時に店員が特別な商品だとか何とか言っていた気がする。
おいそこのお前、研究所のカードキーってのを知らんか?
『ウチのとっておきの商品にカードキーもあった気がする。ただし…StrangerVilleを真面目に調べる気のある相手にしか売らないよ。情報をまとめた秘密レポートがあれば考えてあげてもいいけど。』
ここに証拠がいくつかある。それでキーを売ってくれ。
無理ですねー。きちんと揃えてからお越しください。
融通の利かんくだらん店だ!
軍も店も頼らず、となるともうどうしようもないヴァルファー。
そんなに長い間ではないが一緒に生活してきたシドゥリはヴァルファーの性格を少なからずとも理解している。
ヴァルファーが寝静まったのを確認して静かに家を出るシドゥリ。
ーーー朝。
…ほらよ。コレ、必要だろ。
これはどうした?どこで手に入れた。
……どこだって良いだろ。
~~回想~~
あークッソ疲れた_:(´ཀ`」 ∠):_
~~~~~~~~~~~~~
…無茶なことはしてないな?
しねーよ、そんなこと。有効に使えよクソジジイ。
実は滅茶苦茶無茶をした。
そんなツンデレシドゥリにレポートを貰ったヴァルファーは一路、土産物店へ。
いらっしゃ~い
証拠とやらを持ってきたぞ、カードキーを出してもらおうか。ちなみに本物だろうな?
え?あぁ、はいこれですよ!もちろん正真正銘のホンモノです!
よし、それを寄越せ。ただしいいか、この鼻タレ小僧!もしこれが偽者だったらお前を地の果てまで追いかけて地獄に叩き込んでやるからな。覚えておけ!!
ええ…(困惑)
“エルディ ヴァルファーがカードキーを手に入れました。これで秘密研究所のすべての扉を開けるはずです。”
かくしてヴァルファーはカードキーを手に入れたのだが、町が変貌するのはこのすぐ後のことだった。